何か得たいの知れないものを伝える時、詩はたくさんのことを表現できます。「死」を考えながら、色々な詩集を思い浮かべたのですが、なぜかこの詩集を選んでしまいました。「だれかにあいたくて　なにかにあいたくて　生まれてきた ー そんな気がするのだけれど」。 工藤直子 詩 / 佐野洋子 絵

彼女は作家、作家は庭師みたいに、言葉を刈り込み、設計し、形を整える。作家は物語を大切に育てて、人々の心に種子として蒔かれるのを願っている。私の中にも種子が育ってい ます。この本を読むと、今まで出会った全ての物語に感謝したくなります。 M.B.ゴフスタイン 作 / 谷川俊太郎 訳

子どもたちよ　灯台のようであれ！ ”わたしの本は　呼びかける。 「子どもたちよ　灯台のようであれ！ くらやみで　航海できない人たちのために 明りで行く手を照らすのだ！」” この本は、庭しんぶんの創刊準備号を製作している真っ最中に、出会った一冊です。ピカッと庭しんぶんの灯台になる一冊に出会ってしまいました。100年前のジョージアの詩人マヤコフスキー（1893‒1930）の絵本。彼の言葉は最高！ 絵本との出会いから始まる時空を越えた縦横無尽の言葉の旅の始まり。この本に関しては、説明するだけ野暮なので、ぜひ手に取ってほし い。時代や人生を航海に例えることはよくあります。そして、その中の灯台がかけがえのない道標になるということも。たださ……、こどもたち、小さな灯台たちよ！今まで自分自身が灯台なんだってこと考えたことあるかい？

命が途絶え、そして受け継がれていく物語なのですが、この本を読む時に、「死」というものをあまり意識したことがありませんでした。死ぬことよりも、もっと強い何かが手元に残る気がするのです。とてもいい絵本です。 ロバート・マンチ 作 / 乃木りか 訳 / 梅田俊作 絵

人間が地球に存在するはるか昔から、地球にはいろんな命があって、関係し合って、そして季節が巡っていました。まどみちおさんの言葉が、じんわりと染み込み、途方もない時間の流れに思いを巡らせます。 まど・みちお 詩 / 柚木沙弥郎 絵

僕たちが、生きるために必要なもの。それはなんといっても地球です。まあ、僕たちは地球から生まれてきたようなものだから当たり前なんだけど、あらゆるものを地球から調達しています。太陽系のほかの惑星と地球との大きな違いは、植物が育つっていうこと。植物がないとぼくたちは生きていかれない。それに、食べるものは、ほとんど植物だし、ぼくたちが食べる動物たちだって、植物を食べて生きている。衣服だって植物だしさ。何が言いたいかっていうと、ぼくたちは植物を育てながら、暮らしてるってこと。生きるためにさ。そして、人が生きるために必要なものを育てる場所が〈庭〉なんだよ。原書のタイトルは “Inch by Inch —The Garden Song—”。庭のテーマソングのような絵本です。 デービッド・マレット 文 / オラ・アイタン 絵 / 脇明子訳

五味太郎さんの優しい絵と、物や動物に語りかける言葉が1ページごとに描かれています。その言葉は命令口調なのですが、どこか心地よく何度も繰り返し読みたくなります。騒がしさから少し離れて、静かにこの絵本の世界を楽しんでみてください。 五味太郎

クレメント・クラーク・ムアの詩『クリスマスのまえのばん』は、多くの作家によって絵本になっています。ターシャ・テューダーの描く『クリスマスのまえのばん』は、家の犬や猫、ねずみたちにフクロウも、みんなでサンタを迎え、クリスマスをお祝いします。ひっそりと静まりかえった真夜中。遠い空から陽気な小人のサンタクロースがやってきます。静かな夜が温かく楽しい空気に包まれていきます。まるでクリスマスの夜をのぞき込んでいるみたい。どんなことが起こっているのでしょうか……。 ターシャ・テューダー / クレメント・ムア 詩 / 中村妙子 訳